サービスの価値について

私の仕事はサービス業です。翻訳や通訳という「サービス」を売っています。それ以外にも実はタイ語を教えるというサービスも売っています。ですから、今回は「サービスの価値」について考えてみたいと思います。

 

さて、それでは、その「サービス」を具体的にはどのように売っているのか。

まず、文書の翻訳の場合は1文字(またはワード)いくらでサービスを売ります。例えば、1文字10円でその文書が1,000文字だとするとサービス料金は10,000円です。原文の文字(またはワード)数で計算する場合もあれば、訳文の文字(またはワード)数で計算する場合もありますが、一つ言えることは、翻訳の作業に時間がかかればかかるほど時間あたりに稼げる金額は低くなります。サービス料金が10,000円だとして、1時間で納品までの作業が終われば時給10,000円ですが、10時間かかれば時給は1,000円です。もちろん実際には同じ分量であればそこまで極端に時間に差がつくことはまずありませんが、とにかく時間がかかれば時給はそれだけ安くなります。(実際には在宅翻訳業務でも1時間いくらという仕事もたまにはあるのですが、今回はそれについては触れません)

 

次に、通訳の場合は通常1日(あるいは半日)いくらでサービスを売ります。1時間いくらではありません(ただし、派遣会社経由の通訳の場合は別です)。なお、エージェントによって多少違いがありますが、私が引き受ける仕事の場合は1日とは拘束8時間以下を意味することがほとんどです。「拘束」というのは一般の人には聞きなれない言葉だと思いますが、通訳をする現場にいる時間のことを、その場所に拘束されるという意味で「拘束時間」と言います。そして、その拘束時間の中には昼休みも当然含まれます。ですから1時間いくらではないのです。通訳の場合は残業がなければ1日のサービス料金が決まっていますから、時間あたりでいくら稼げるのか最初から計算できるように思えますが、そうではありません。例えば、1日の通訳料金が10,000円だとして(実際はいくらぐらいなのかということはここでは触れません)、8時間で業務が終われば時間あたり1250円という計算になりそうなものですが、そんなことは絶対にありません。なぜだか分かりますか?それは、通訳をするためには事前の準備が欠かせないからです。ですから、現場で通訳するのは8時間だとしても、仮に準備に8時間かかれば、時間あたりでは625円という計算になります。通訳する内容やその分野の経験の有無などにもよりますが、現場で8時間の通訳をするためには、その準備にそれ以上の時間がかかるなどというのは当たり前のことです。ですから、通訳のサービス料金とは、その準備にかかる時間も含めての料金なのですが、お客さんの目には通訳料金は1日でいくらというふうにしか映りませんので、どうしても「通訳(というサービス)にはお金がかかる」という印象になってしまいます。

 

まだ続きがあるのですが、今日はここまでにします。

にほんブログ村 外国語ブログ タイ語へ
にほんブログ村