翻訳とタイ語について

 年末年始に振り返る時間がまったくなかったので、翻訳の仕事とタイ語について考えていることを自分自身にあらためて認識させる意味でこのブログに記しておく。

 まずタイ語について。以前にもこのブログに書いた記憶があるが、タイ語の勉強を始めて以来、ぼくはタイ語がうまくなりたいという気持ちが衰えたことがただの一度もない。それどころか勉強すればするほどその思いは強くなる一方である。それは、勉強すればするほど自分がいかにタイ語を知らないかということを思い知らされるからという面が一つにはあるのだが、それとは別に、タイ語をやるからには他の誰よりもうまくなりたいという、言い換えれば、タイ語では一番になりたいというくだらない情熱がぼくの中にあるためであり、くだらないことだと頭の中では理解していてもこの情熱がぼくの中から一向になくならないのは、認めなくないことだが、やはり見栄とか虚栄心というのが自分にあるためであると言わざるを得ない。ただ、ことタイ語の翻訳を仕事として行っていく上ではこのくだらない情熱はプラスになると信じて疑うことがなかった。ところがそれは間違いであることに最近になってようやく気が付いた。

 あるいは間違いというよりも、方向性としてベストではないと言ってもいいかもしれない。つまり、タイ語を日本語に翻訳するという仕事はタイ語さえできればいいのではないということにあらためて思いが至ったのである。もちろんそのようなことは前々から分かっているのだが、タイ語という原文をもとに「日本語を書く」という仕事をする上では、先述の誰よりもうまくなりたいという情熱がマイナスになりかねないと分かったのであり、タイ語を日本語に翻訳するという仕事で腕を上げるには必ずしも「タイ語で一番である必要はない」という余りに当たり前のことに気が付いたのである。もちろん、タイ語を日本語に翻訳するには原文のタイ語をできる限り正確に理解できる能力が不可欠であり、そのためには、一番とは言わないまでもトップクラスのタイ語読解力は当然必要になるが、それはあくまでタイ語を日本語に翻訳するための必要条件の一つにすぎないのである。

 タイ語に関連してもう一つあらためて考えさせられたことは、タイ語を日本語に翻訳するという仕事をする上では「タイ語を流暢に話せる必要はまったくない」ということである。これまでぼくは翻訳だけでなく通訳の仕事も行ってきたため、読んだり書いたりするだけではなく、聞いたり話したりする能力も高める必要があった。いや、これからもまったく通訳の仕事をしないということはないと思うので「あった」というのはおかしいかもしれない。ただ、これからは基本は翻訳一本でやっていきたいと思っており(生活があるのでいきなり100%は難しいが)、したがって、タイ語能力に関しては、極端に言うと今後は「読み解く力」だけを専らつけるような勉強をする方向でいきたいと考えている。

 というわけで、今後のブログの内容は、「タイ語がうまくなること」ではなく「タイ語の翻訳の腕を上げること」を第一の目的としたものになる。ただし、「タイ語の翻訳の腕を上げる」のは、少しでもいい仕事ができるようになりたいからであり、それは他人に評価してもらいたいからではなく、あくまでも自分自身が納得できるような仕事をするためであるということを常に心に留めておきたいと思う。そうしないと、ぼくのような弱い人間はどうしても「くだらない情熱」に引っ張られがちになってしまうからである。


 「タイ語翻訳が生業」とか謳ってるぐらいだから、いくらなんでも営業活動の一環としてタイ語ブログランキングに参加中ランキングではさすがに・・・だよねチミ?


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