コンピュータ・プログラム研修の通訳

 日本語であって日本語でない世界。
 これがこの分野のぼくの率直な印象であり、正直苦手な(嫌いな)分野である。
 しかしやるしかない。
 ただし、全く未知の分野というわけでもない。コンピュータ・プログラムと書いたが、もう少し詳しく書くと、製造現場で使うロボットを操作するためのプログラムであり、研修を受けるのは保全の従業員である。そして、偶然か否かは分からないが、ぼくは保全の従業員の研修通訳を今まで何度かやっており、その中でロボットのプログラムの話も出てきている。ということで、用語の面では多少の知識はあるのだが、今回はプログラムそのものの研修なのでかなり骨が折れるだろうということは想像に難くなかった。
 ありがたいことに事前にかなり詳しい資料を、というよりも研修で使用するテキストそのもののPDFファイルを送ってもらったのだが、そのファイルの枚数が合計で1000ページ近くというとんでもない量である上に、内容が(ぼくにとっては)日本語であって日本語ではないので、読んでも頭にさっぱり入ってこない状況であった。だが、読んでもさっぱり頭に入ってこないであろうことは最初から分かっていた。
 では、どう準備したのかと言えば、資料のすべてのページをしっかり読むなどということではなく、まずは重要だと思われる言葉をネットで調べて、最低限の知識を一夜漬けで勉強するという方法を取った。というのも、コンピュータ・プログラムのような分野では、基本的には日本人でもタイ人でも英語の用語をそのまま使うであろうから、タイ語の訳を調べておくなどというのはほとんど時間の無駄だからである(もちろん事前に調べておく言葉が全くないわけではないが)。
 例えば「PLC」という言葉を例にとると、まずこのPLCをグーグルに入力して検索する。すると、ものすごい数のページがヒットするが、ぼくの場合はたいていウィキペディアを見ることが多い。事実今回もそうだった。そして、ウィキペディアのページを読んでまず「PLC」というのが何なのかを大まかに理解する。しかし、読んでいくと説明文の中にさらに分からない言葉も出てくるので、今度はその言葉を調べるといった具合で芋ずる式に複数の用語を調べていく。また、今回は特に英語の用語が中心となるので、ウィキペディアの日本語版だけではなく、英語版でもPLCのページを読んでおいた。タイ語よりもむしろ英語の用語の知識がないとこういう通訳はお手上げだからである。すると面白いことに日本語版の説明と英語版の説明が非常によく似ていることが分かった。そこで両言語を対比してみることで日本語と英語の用語をある程度比較することができた。蛇足だが、このようなこともあるので、タイ語の通訳と言ってもやはり英語の能力も必要なのである(タイ語の翻訳や通訳をするのにどうして英語が必要だと思うのかについてはいずれ日をあらためて書きたいと思っている)。ぼくはものすごく英語ができるわけではないが、このようなプログラムの説明などは日本語よりもむしろ英語の文章のほうが分かりやすい気がする。これはプログラム内に出てくる文章でもそうなのだが、これは一つには英語の文がオリジナルだということとがその理由なのであろうが、プログラムなどの説明に限らず、マニュアルの説明文なども英語の文法のほうがすっきりしていて分かりやすいような気がする。
 そんなわけでとても十分とは言えないが、最低限の知識だけはなんとか仕入れて通訳に臨んだ。


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