声のイメージ

昨日は、原文を読んで頭に描いた絵(イメージ)を日本語という言語で表現するという話を書きました。そして、「イメージ」ということでふと思ったことがありました。「声のイメージ」です。

 

私はThai PBSというタイの公共放送局のニュースを毎日Podcastで聞いています。何人かのアナウンサーの声を毎日のように耳にしているのですが、そのアナウンサーの人たちの顔は一人も知りません。ただ、その声から何となくこんな感じの顔の人ではないかと無意識のうちにイメージします。小説を読んだ時にその物語の情景を頭に浮かべるのと似ているかもしれません。

 

そしてふと、そのアナウンサーの人たちはどんな顔なんだろうと思い、気になって調べてみました。ラジオ放送では日本でも同じですがアナウンサーが自分の名前を名乗りますから、その名前をインターネットで調べたのです。何人か調べたのですが、どの人も私の思っていたイメージとは違いました。

 

声と言うと、まず年齢のイメージが浮かぶと思います。若い人なのか、ある程度の年齢の人なのか、今回調べた人たちは全員女性ですが(私が聞いている番組は女性アナウンサーが大半なので)、私がイメージしていたより年齢が高そうな人が多かったです。アナウンサーの人の声はやはり普通の人より若々しく聞こえるのかもしれません。逆に、私が思っていたよりずっと若そうなアナウンサーも一人いました。その人はわりと落ち着いた声の人なので、もう少し年齢が高いイメージでした。

 

よく考えてみると、これと同じようなことが普段の仕事でもあります。私は在宅で翻訳業務をしていますので、翻訳会社とのやり取りはメールが大半で、大半の担当者の方には一度もお目にかかったことがありません。メールだけのやり取りしかしない会社も多いのですが、翻訳会社によっては正式に依頼する前に必ず電話をかけてくる担当者もいます。その人たちも声からなんとなくこんな顔の人ではないかと無意識のうちにイメージしているのですが、実際にお会いしたらイメージとは全然違うかもしれません。逆に、翻訳者のほうは履歴書を送っていますので、相手はこちらの顔は分かっているはずです。

 

もう一つ、これは前々から思っていることですが、通訳の仕事というのは「文字」ではなく「音声」を訳す仕事ですから、通訳者の「声」というのはけっこう大事だと思います。聞きやすい声のほうがもちろんいいですし、聞きやすさだけではなく、できれば聞いている人に耳障りではない、安心できるような声というのが望ましいと思います。もちろん、いくら声がよくても正しく通訳していなければダメですが。

 

ですから、これも前々から思っていたことですが、通訳者も本当はアナウンサーの人がやるような発声トレーニングみたいなものはできればしたほうがいいのだろうと思います。

 

にほんブログ村 外国語ブログ タイ語へ
にほんブログ村