暗示的情報(行間の情報)が多く含まれる文章には注意が必要

 

備忘録の意味合いでこのことを記しておきたいと思います。

 

これは、4日前に書いた内容にも関わってくるのですが、例えば、「ある組織や業界にいる人が特に組織または業界の内部の人に向けて書いた文章」には「暗示的情報(行間の情報)」が多く含まれているのが普通だと思います。

 

というのは、これはどんな人でもそうですが、その組織や業界の内部の人間であれば書かなくても分かることはわざわざ書きません。これはわざと書かないのではなく、おそらく大抵の場合は意識せずにそうしているのだと思います。そして、その組織や業界の内部の人間であれば、情報が文字で明示されていなくても行間の情報を自身の知識で補うことができるので、暗示的情報(行間の情報)が多く含まれている文章であっても問題なく読むことができます。

 

ところが、翻訳者というのは当然ながら「部外者」なわけですから、内部の人間であれば書かなくても分かることであっても、情報が明示されていないと意味が分からないことが多々あります。そして、こういった情報を言葉の表面的な意味ではなく、正しく理解しようとすると、インターネットでその組織なり業界なりのことを調べて行間の情報を補わなければなりませんので、そのぶん余計な時間がかかります。これは基本的には通訳業務においても同じことが言えます。

 

そして、このような「暗示的情報(行間の情報)」が多ければ多いほどその文章の意味をきちんと理解するのに時間を要します。日本語を母語とする日本人が日本語の原文を読む場合であってもそうなのですから、外国語の原文を読む時はさらに大変なことは言うまでもありません。外国語の原文には「暗示的情報(行間の情報)」が含まれていないなどということは当然ないわけですから。

 

ただし、翻訳対象となる文章の大半はもともと外部の人間に翻訳することを最初から想定して書いているわけではありませんので、「暗示的情報(行間の情報)」が多いのは致し方ないことです。逆に、最初から翻訳することを想定して書くのであれば、「暗示的情報(行間の情報)」がなるべくないように書いたほうが当然いいですし、翻訳とは関係がなくても、何かの情報を伝えることを目的とする文章は、読み手が苦労しなくてもいいよう、できるだけ「暗示的情報(行間の情報)」がないよう意識することは大切かと思います。もちろん、小説などは当然これには当てはまりませんが。

 

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