タイ語を教える(その2)

 タイ語を教えてほしいということなので、とにかく一度話をするためにお店で会うことになった。

 聞くと文字の読み書きはいいので、会話ができるようになりたいとのこと。ぼくとしてはどうせやるなら時間はかかっても文字もやったほうがいいと思うのだが、これはぼくが決められることではない。それに仕事が忙しくて時間がそれほど取れないと言う。なんでも希望は週1回で1時間。たしかにこのペースでやるのなら文字の読み書きはやらないほうがいいかもしれない。それこそ読み書きできるようになるまでどれだけ時間がかかるか分からない。

 少し前の日記に書いたように、ぼくがかつて通ったタイ語学校では1日4時間の授業を1ヶ月で20日間行う。つまり、1ヶ月で80時間勉強することになる(厳密に言えば休憩時間があるので4時間もないのだが)。この80時間を週1回1時間ずつのペースで勉強しようと思ったら1年半ほどかかることになる。そう考えただけで分かることだが、正直言ってこのペースでタイ語を勉強して上達しようとういうのは至難の技である。しかもこの人はそれほどタイ語を使う機会があるわけではない。というかほとんどないだろう。

 そういうわけで、週1回1時間のペースで勉強するということになると、それ以外の時間にどれだけタイ語を聞いたり使ったりするかが非常に重要になってくるということを話した。またあわせて、なぜ勉強するのか、つまり勉強する動機というものも重要になってくる。この人の場合、タイマッサージの勉強のために年に最低1回はタイに行き、そこで少しでもタイ語でコミュニケーションが取れるようになりたいらしいので、それなりの動機はある。

 そこでぼくは、幸い時間だけはたっぷりあるうちの妻と一緒に教えることにした。100%ではないとは言え、ぼくの発音でもそれほど問題はないと思うが、やはりどうせやるなら本物のネイティブの発音で練習したいだろうと思ったからだ。逆にぼくが勉強する立場ならそう思う。

 そういうことで、ぼくは妻と一緒にタイ語を教えることになった。