日本語から外国語への翻訳の難しさ その2

実は今まさに「精神的につらく苦しい」状況です。というのも、一昨日書いた「日本語から外国語(タイ語)への翻訳」を今やっているところだからです。

 

ひとくちに日本語から外国語への翻訳と言っても、内容によってその大変さは異なりますが(それは外国語から日本語への翻訳でも同じですが)、今回のものは私がいままでやったなかでもかなり大変な部類に入ります。

 

何が大変かというのは大きく分けて3つあります。

 

1つ目は、単純に量が多いからです。「日本語から外国語への翻訳」自体が「精神的につらく苦しい」作業ですので、量が多ければ多いほど「精神的につらく苦しい」時間が長く続きます。

 

2つ目は、かなり専門的な用語がたくさん出てくることです。ただし、専門的な用語が出てくる文書の大変さは、その用語の適切な訳語を調べることではありません。訳語うんぬんの前にまずその用語の意味や概念をある程度は理解する必要があり、そのために調べ物にかなりの時間がかかることが大変なのです。用語の意味や概念をある程度理解しておかないと、一見すると正しいように見える訳語でも、実は単なる逐語的な訳になっていて、その文書の文脈に合っていないということになりかねません。

 

3つ目ですが、いかにも日本語らしい表現が随所に出てくることです。実はこの3つ目が、私が日本語から外国語への翻訳において最も「精神的なつらさや苦しさ」を感じる点なのです。

 

一つだけ例をあげると、「問題に目鼻が付いた」という表現です。

 

一見すると何のことはない日本語なのですが、こういういかにも日本語らしい何気ない表現ほど外国語に翻訳するのが難しく、こういう表現を翻訳するのに思いのほか時間がかかります。

 

私の場合ですと、「目鼻が付く」って「目処が付く(または立つ)」と同じような意味だったっけ?というところから始まり、まずは国語辞典で意味を調べます。

 

国語辞典で意味を調べると次のように書かれています。

 

  • 目鼻が付く→物事の大体のところが決まる。おおよその見通しが立つ。
  • 目処が付く→実現・解決などの見通しがつく。
  • 目処が立つ→「目処が付く」に同じ。

 

で、ここが難しいのですが、日本人が日本語の文章を書いたとしても、必ずしも100%正しい日本語の使い方をしているとは限りません。ただ、この判断にはかなりの勇気がいります。下手をすると日本語原文の意味を曲解してしまう可能性があるからです。

 

今回の場合、「問題に」とありますので、「問題に目処が付いた」という意味で「目鼻が付く」という言葉を使っていると判断し、「問題の解決の見通しが付いた」という意味だと解釈します。ここまででようやく日本語の解釈が終わったところです。

 

ただ、「問題の解決の見通しが付いた」という意味だと解釈できれば、そこからタイ語に翻訳することは難しい作業ではありません(まさに、どう訳すかの「問題の解決の見通しが付いた」という状況です)。ちなみに、私はこの文章を最初に読んだ時に、まず「目処が付く(または立つ)」という言葉が頭に浮かび、そこから直感的に「問題の解決」というイメージが浮かびましたが、それはあくまで直感であって根拠がありませんから、そこから言葉の意味の裏を取るために上述のような手順を踏むわけです。

 

こういう作業を繰り返していると翻訳が遅々として進まず、だんだんと「精神的なつらさと苦しさ」が募っていきます。

 

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