タイ語の翻訳であってタイ語の翻訳にあらず

私が普段している翻訳の仕事は大半がタイ語から日本語への翻訳です。以前にも書いたことがありますが、外国語から日本語への翻訳は日本語を母語とする翻訳者が行うことが望ましいです。

 

タイ語から日本語への翻訳ですから、当たり前のことですがタイ語で書かれた文書を日本語に訳します。ところがこの「タイ語で書かれた文書」というのが意外に曲者で、私が翻訳する文書の中には100%ピュアなタイ語ではない文書というのがけっこうあります。

 

というのも、特に工業系や技術系の規格や規則の文書というのは、オリジナルの文書が英語であることが大半だからです。例えば、私は日本のJIS規格を翻訳の調べ物でよく読んだりしますが、JIS規格は(全てかどうか分かりませんが)英語を日本語に訳した文書が多いです。タイの工業規格や技術規則なども基本的にはこれと同じであり、これが「100%ピュアなタイ語ではない文書」と私が書いた理由です。

 

要は英語をタイ語に訳した文書をさらに日本語に訳すという作業をするわけです。こうした翻訳の仕事で最も問題となるのが「元の英語を正確に訳したタイ語の文書であるかどうか」なのですが、残念ながらそうとは言えない文書が少なくありません。そして、そういったタイ語の文書を日本語に訳すことはある意味で至難の業です。

 

上述の工業系や技術系の規格や規則の文書はタイの公の機関が発行する文書、つまり、公文書です。公文書でしかも規格や規則ですから当然内容は正確であると思うでしょうが意外とそうではありません。勝手に決めつけてはいけないのですが、どうしても「お役所仕事」という言葉が頭に浮かんでしまいます。誰がどうやって訳しているのかは分かりませんが、私自身が翻訳を仕事にしていますので一つだけはっきり言えることは、責任感のない仕事をしているということです。

 

そんな「タイ語であってタイ語ではないような文書」を訳すことは頭が痛いことこの上ないのですが、そんな仕事でもなかなか断れないのがつらいところです。将来的にはこういう文書の翻訳はやりたくないと思っているのですが、そのためには、そういう文書の翻訳をしなくても十分な収入が得られるような状態を作っておく必要があります。

 

ちなみに、こういった文書を訳すこともありますので、最低限の英語の知識はタイ語の翻訳においても(ついでに言うとタイ語の通訳においても)必須であり、それが私が英語を勉強している理由の一つでもあります。

 

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