モジュール6

 モジュール6もモジュール5と同じく文章の読解で、やること自体はあまり変わらないのだが、読む文章の量が増え、内容もやや難しくなるので、いよいよ「タイ語の文章読んでるじゃん俺」みたいなちょっと自分がタイ語ができるようになってきたような錯覚を起こす時期である。というのも、学校の生徒の中ではまずまず高いレベルになってきて、そういう狭い世界にいると自分があたかもタイ語がたいそうできると勘違いしがちになるからである。

 とは言っても、まじめに目的意識を持って勉強を続けている生徒であれば、半年近くも勉強すれば最初の頃よりはかなり上達しているというのも事実である。

 ぼく自身のことで言えば、モジュール1や2の頃は妻との会話も英語交じりであったものが、このモジュール6あたりになってくると大半がタイ語だけの会話になってきた。そういう意味ではぼく自身も学校に通い始めた頃と比べるとかなり上達してきたということは言えると思う。ただし、ではタイ人と不自由なく会話ができるかと言うと、やはりまだそこまでのレベルには達しておらず、事実、妻との会話はほとんどタイ語だけになっても、妻のほうはぼくが理解できないと思われるような言葉は使わないようにしていると言っていた。これは学校でも同じで、このレベルになってくると学校の先生ともだいたいタイ語で何でも話せるような気になるのだが、それは先生たちが生徒が分からないような言葉を使わないからなのである。

 これは逆の立場になってみればごく当たり前のことであり、現在妻は日本語がある程度できるようになってきて、特に聞くほうはぼくが思っている以上に理解できるようなのだが、ぼくが仮に彼女に日本語で話をするとしても(実際にはそんなことはほとんどないのだが)、やはり彼女が理解できないと思われるような言葉は避けるであろう。

 というわけで、客観的に見れば、モジュール6あたりではまだようやく初心者レベルを卒業したという程度なのだが、それでも文字の読み書きはひと通りできるし、ある程度は自分の言いたいことも言える段階なので、タイでタイ語を使って最低限のコミュニケーションはとれるレベルにはあると言ってもいいと思う。ただし、同じモジュール6と言っても個人差が大きいので一概には言えないが、授業の内容がたいだい理解できている生徒であれば、上記のようなレベルに達していると言えるかと思う。