今日はあのボイン

 さて、今日もまた一人、いやひとつボインちゃんをご紹介しよう。

 とその前にちょっとこれを見てほしい。

 กัย

 1月17日の日記で紹介したボインちゃんだが読み方を覚えているだろうか。

 กัย=kai(カイ)である。今日はこの読み方をちょっと覚えておいてほしい。

 さて、では本日のボインちゃんのお出まし〜。

 กัด

 ずばりいきましょう。これは「kat」と読む。

 次。

 ขัด

 じゃあこれは?そう。「khat」と読む。

 では、これは?

 งัด

 そうです。「ngat」。

 今回のボインちゃんが最初の子音の右肩に乗っかってる「の」の逆さまみたいな形のこの子「 ั」。

 この子は何を隠そう「a(ア)」と読む。だから「今日はあのボイン」なのである。お分かり?

 では、他の単語を見る前に上の3つのボインちゃんの声調を確かめておこう。

 กัด (kat) →中子音で声調記号がなく末子音が「t」の音なので、第2声調。犬がこれをよくやる。あ、でもウチの猫もしっぽをつかんで引っぱろうとするとこれをやってくる。

 ขัด (khat) →高子音で声調記号がなく末子音が「t」の音なので、第2声調。これはけっこういろんな意味があるのだが、イメージ的には、引っかかったり、邪魔くさいような感じの言葉。

 งัด (ngat) →低子音で声調記号がなく末子音が「t」の音なので?。まだこれじゃあ分からない。低子音の場合はボインが「長母音」なのか「短母音」かが問題となる。今回のこの子「 ั」はずばり「短母音」。だから声調は第4声調になる。これは、小さ目の釘抜きを想像していただきたい。それで丸い缶のフタをてこの原理で開ける。まさにそんな意味の言葉。

 さあ、もう少し別のボインちゃんも見てみよう。

 ดัน

 これは、最初の子音(頭子音)が「d」で母音が「a」で末子音が「n」なので合わせて「dan」。そう「ダン」と読む。簡単でしょ。声調は、中子音で声調記号がなく末子音が「n」の音なので、第1声調。あの、タイでは自動じゃないドアに「ดัน」というステッカーが貼ってあるよ。日本にも貼ってあるでしょ。「押」って。

 じゃあこんな調子でもう少し。

 ฝัน

 「ฝ」は「f」で母音は「a」で「น」は「n」だから?そう。「fan」。声調は、高子音で声調記号がなく末子音が「n」の音なので、第5声調。意味は「ファン」じゃないよ。あのあれ、夜寝ている時に見るやつ。

 ฟัน

 「ฟ」は「f」で母音は「a」で「น」は「n」だから、「fan」。でも上の「ฝัน(fan)」とは全く別物。声調も違う。声調は、低子音で声調記号がなく末子音が「n」の音なので、第1声調。当然意味も全く違う。皆さんの口の上と下に生えているやつ。

 ฟัง

 「ฟ」は「f」で母音は「a」で「ง」は「ng」だから、「fang」。カタカナだと「ファン」で、耳に聞こえる音は上の「ฟัน」と区別がつかないはず。ちなみに声調は、低子音で声調記号がなく末子音が「ng」の音なので、第1声調。この言葉はタイ語学校で初日に教えてもらった。先生が自分の耳を指でさしながら、「ฟังดีดี(fang dii dii)」と言ったのを今でも覚えている。「ดีดี(dii dii)」というのはここでは「よく〜」みたいな意味で、この時先生は「よく○○なさい」と我々に言ったのである。分かります?

 ฝัง

 こんなのもある。タイ語ってややこしい。なんて言わないで下さい。そういう言葉なの。

 「ฝ」は「f」で母音は「a」で「ง」は「ng」だから、「fang」。これもアルファベットだと上の「ฟัง」と同じ「fang」になっちゃうけど、当然全く別の単語だし、声調も意味も違う。声調は、高子音で声調記号がなく末子音が「ng」の音なので、第5声調。意味は、そう、タイムカプセルってあるでしょ。中学卒業した時とかに10年後にまた見ようとかいうあれ。あのタイムカプセルはどうする?っていう意味。

 そう。こんなのもあった。

 ฟัก

 これはある意味ヤバイ言葉。「ฟ」は「f」で母音は「a」で「ก」は「k」だから「fak」なんだけど、カタカナだと「ファック」。声調は、低子音で声調記号がなく末子音が「k」の音なので、第4声調。第4声調っていうのは記号だと「/」で、高く上がる音なんだが、これで「ファック」と言うと、まるでぶちきれたアメリカ人かお前はということになりかねない。しかし、意味はそんなヤバクない。タイで暮らしてタイ料理いつも食ってたら必ず耳にする機会があるはず。この「ฟัก(fak)」はウリ科の一部の植物を指す言葉で「カボチャ」や「トウガン」などにこの言葉が使われる。

 さて最後。

 มั่ว

 「ม」は「m」で母音は「a」で「ว」は「o」だから「mao」。じゃないんスよおところが。

 実はこのパターンのボインちゃんはすでに紹介している。

 กัว

 これは「kua」と読むのである。実は末子音が「ว」の時に限り、このボインちゃんは「a」ではなく「 ั」+「ว」で「ua」と読むのである(口をすぼめる「ウ」)。だから「มั่ว」の場合は、「mua」と読む。これがタイ語のつらいとこ。でもそういうルールなので仕方ないっス。ちなみに声調は、低子音で声調記号がマイ・エークなので、第3声調。意味は、突然パターンが変わってしまうこのタイ語の読み書きのルールにぴったり。