コストについて考える2

昨日のコストの話でひとつ大事なことを書くのを忘れていました。

 

物を売る仕事をする人は「仕入れ」というコストがかかります。分かりやすい例をあげると食べ物です。食べ物を売るためには、その食べ物を作るための材料を買わなければなりません。そして、当然ながら材料を買うにはお金がかかりますので、手元に資金がなければ材料を買うことはできません。そして、材料を買うことができなければ食べ物を売ることができませんので収益が得られません。

 

平常時であれば、商品である食べ物を売ることで収益を得て、得た収益を元手にまた材料を仕入れ、仕入れた材料で食べ物を作り、作った食べ物を売って収益を得る。そして、得られた収益から材料代や賃料、光熱費、人件費など諸々の支出を差し引いたものが利益となります。そうして利益が得られることによってはじめて商売として成り立ちます。

 

上のようなサイクルが回っているうちは、その時々によって波はあっても利益が得られていますから商売は回っていきます。日によって収益よりも支出のほうが多いことがたまにあったとしても、月全体で利益が出ていれば商売は回っていきます。そして、商品である食べ物がものすごく売れるようになれば、「増産」ということも考えるかもしれません。そうなると、新しい店舗を開くということも考えるかもしれません。

 

新しい店舗を開いて食べ物を売るようになれば、仮に1店舗あたりの収益と支出が同程度だとしても、利益は2倍になります。もちろん、店によって売り上げは当然違うでしょうから実際にはそんな机上の計算通りにはならないでしょうが、理屈としては、商品である食べ物が売れる限りは、店舗を増やせば増やすほど利益が増えることになります。ですから、レストランなどのチェーン店も店舗を増やしていきます。

 

しかし、店舗が増えれば増えるほど、あるいは1店だとしても規模が大きくなればなるほど、仕入れなどにかかる支出の額は大きくなっていきます。食べ物を売って収益を得て、その収益で材料を買って食べ物を作り、作った食べ物を売ってまた収益を得るというサイクルが回っているうちはよいのですが、そのサイクルが回らなくなった時に、支出額が大きくなった仕入れのコストが経営に重くのしかかります。私が商売が怖いなと思うのは、このようなサイクルが止まった時です。

 

サイクルが回らないというのは、商品である食べ物が売れなくなる時です。今回のコロナ禍で飲食店を営んでいる多くの方が苦境に陥っているのがまさにこういう状態だと思います。素人の目から見ても大変だろうなと思うのは、食べ物の場合、調味料や乾物を除けば、材料を長期間保存しておくことができませんし、かと言って、商品である食べ物を売らなければ収益が得られませんので、どれだけ売れるか分からなくても材料を買わないわけにはいかないという点です。ですから、これも素人目なのですが、特に個人で飲食店を長く営んでいくというのは本当に大変なことだと思いますし、頭が下がる思いです。

 

ということで、今日はかなり長々と書きましたが、物理的な物を売っているのではない私のようなサービス業の場合、こうした材料などの仕入れをしなくてもよいので、そうしたコストがかかりません。その代わり、昨日も書いたように大きく儲けることは難しいですが、今回のコロナ禍のような状況では、収入が激減したり収入が得られなくなったりした時にこうしたコスト、つまり、支出がかからないというのは精神的にはかなり楽ですし、固定の支出がなければ、収入がほとんどない期間は、将来のための投資と割り切って、普段はなかなかできない勉強に時間を当てることもできます。

 

ただし、そのためには1年や2年は仕事がなくても生活していけるだけの蓄えは必要だと思います。

 

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