言葉の意味をしっかり噛み砕く

日本語を一読して意味が分からないわけではないのに、即座に翻訳できない時があります。

 

そんな時は、文の意味が分かっているようでいて実は明確には分かっていないことが多いです。

 

例えば、「来年の3月までには新しい設備を工場に導入する戦略であった」という文章があったとします。何でもない文章に見えますが、これを何語でもいいのですが、外国語に訳すつもりで読むと、「戦略であった」という部分が意外に曲者です。

 

戦略「で」あったとはどういう意味なのか。戦略「が」ではないのです。そこで、「戦略であった」という言葉を自分なりに噛み砕いてみると、「戦略」とは基本的に「立てる」ものですから、「戦略を立てていた」と解釈できるのではないかということが分かってきます。そして、「戦略を立てる」という言い方に噛み砕くことができれば、随分と翻訳しやすくなります。

 

もう一つ、「アジアの拠点からヨーロッパに輸出した場合に採算が取れるかどうかを見極める必要がある」という文章があったとします。「採算が取れる」あたりはちょっと工夫が必要ですが、全体としては特に意味がややこしい文章ではありません。

 

ただ、この文章では「見極める」という言葉がちょっとやっかいです。ふだん話をしたりする時には何気なく使う言葉ですが、いざ外国語に訳そうとすると即座には訳しにくい言葉です。その理由は、やはり分かっているようで実はよく分かっていないからです。

 

「見極める」と言う言葉の意味を辞書で調べてみると、いくつか意味がありましたが、この文章の文脈では、「物の真偽を十分検討したうえで、判定する。確かめる。」という意味で使われていることが分かります。とすると、「見極める」とは簡単に言えば「しっかり検討して決める」といった意味に噛み砕くことができ、この意味であればやはり随分と翻訳しやすくなります。

 

前に書きましたが、母語として使っている言葉は感覚的に意味を理解している場合が多いのですが、感覚的に意味を理解している言葉を母語ではない言葉、つまり、外国語に訳そうとする場合は、上に書いたように、いったん意味を噛み砕かないとすぐには翻訳できないという言葉が思いのほかたくさんあります。

 

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