隠れボイン

 以前の日記で母音についてはひと通り触れているのだが、実はまだ紹介していない母音があり、またそれがよく使われる母音なのだ。今日はそのうちのひとつをご紹介しよう。

 その名も隠れボイン。じゃなくて「隠れ母音」。ってぼくが勝手に名づけたので本当はこんな名前じゃないけど。

 ではご紹介しよう。これである。

 ส้ม

 ん?...何だこれは...。タイ語の読み書きがまだできない段階であれば戸惑うに違いない。一体これのどこに母音があるんだ、と。すでにタイ語が読める人には逆にこの?の感覚が分からないかもしれないが、よくよく見てみるとこの単語は「子音がふたつ並んでいる」だけ。

 そう。この隠れ母音のポイントは「子音がふたつ並んでいる」こと。

 じゃあ、この「ส้ม」を何と読むかというと「som(ソム)」と読む。ますます?

 実はこの「ส้ม」には「o」という母音が隠されているのである。そう。あの口をとんがらせる方の「オ」。

 このように「子音がふたつ並んでいる」場合は子音と子音の間に「o」の音が入る。

 この「ส้ม」で説明すると、「ส」が「s」で「ม」が「m」で、その間に「o」が入るので、s+o+mで「som」と読む。

 ちなみに、この単語の場合は「ส」が高子音、声調記号がマーイ・トーで末子音が「m」の音なので声調は「第3声調」になる。

 じゃあもうひとつ。

 ต้ม

 これは何と読むだろうか。「ต」が「t」で「ม」が「m」だから...。そう。「tom」である。声調は、「ต」が中子音、声調記号がマーイ・トーで末子音が先ほどと同じく「m」の音なので第3声調。

 ตด

 これはどうだろう。「ต」が「t」で「ด」が「t」だから...。「tot」?そう。カタカナで書けば「トット」。でも耳に聞こえる音は「トッ」といったところであろうか。ちなみに声調はと言えば、「ต」が中子音で、末子音が「t」の音なので、第2声調になる。そう。この単語はお尻の穴から出るくさいガスのことである。さらに言えば、「ตูด」という単語があるが、これはお尻のことである。

 พบ

 これはどうだろう。読み方はだいぶ慣れてきたと思う。「พ」が「ph」で「บ」が「p」だから「phop」。カタカナだと「ポップ」。では声調は?「พ」は低子音で、この母音の場合は「短母音」。そして、末子音が「p」の音なので、この単語は「第4声調」となる。これはある程度タイ語が話せるようになってくると使うようになる単語かと思う。他人と接する時には欠かせない言葉である。

 งง

 じゃあこれは。???ですか。いやでも今までとルールは同じ。「ง」が「ng」で「ง」が「ng」だからng+o+ngで「ngong」。やっぱり?か。う〜ん。この単語はアルファベットじゃあ表記しにくいなあ。かと言ってカタカナだともっと表記しにくい。あえて音で表記するなら「ンゴン」。ちなみに声調は低子音で末子音が「ng」の音なので第1声調。これは今の状態にぴったりの単語。まさに「?」。訳が分からんっていう感じ。

 まだこのパターンの単語はいっぱいあるのだが、この隠れ母音が攻略できるとタイ語の読み書きのレベルが間違いなく1つ上がるハズ。