なんちゃって翻訳&通訳その後

 撮影が終わり、後日編集作業をした。

 基本的には日本語の音声にタイ語と英語の字幕をつけるのだが、英語については会社の方でやるので、ぼくはタイ語の字幕をつける作業をした(と言っても字幕自体をつけるという技術的な作業をしたのではなく、ただ単にリポーターのしゃべる日本語に対応するタイ語をコンピューターに打ち込んだだけのことであるが)。

 タイ語の字幕をつけると言っても、タイ語の台本があるので、実はそれをコンピューターに打ち込むだけなのだが、順番も含めて日本人リポーターが自分でアレンジした箇所もあるので、日本人であるぼくがリポーターのしゃべっている内容を確認しながら必要な箇所は直して字幕をあてていった。

 そして編集作業も終わり、しばらく経ってからいよいよ番組がテレビで放送されることになった。

 タイには国営5社および民営1社のあわせて6社の地上放送局があり、最初の話では、そのうち国営の1社で番組が放送されるということだったが、最終的には衛星放送のチャンネルで放送されることになった。ちなみにこの番組は、タイで現地発行されている有料の某日本語新聞にも宣伝をのせていたのだが、それを見た日本人が一体何人いたのだろうか(某日本語新聞自体は在タイの日本人には非常に有名である。ぼく自身は一度も買ったことはないが)。

 ぼくも自分が関わった番組なので見てみたかったのだが、いかんせんぼくの部屋には衛星放送がない。そこで、タイ語学校で同じクラスだった日本人の家にお邪魔してそこで見せていただくことになった。

 本当に番組が放送されるのかと半信半疑でテレビを見ていたのだが、しばらくすると本当に番組が始まった。

 番組を見るとちゃんと字幕はついている。ただ、字が小さすぎて読みにくい(見ていたテレビが特別に小さかったわけではない)。そして肝心の番組の中身だが、これはいくらぼくが番組制作に関してど素人だと言っても、台本の内容や撮影の様子を見ていれば、あんまり面白そうなものではないということは分かり、当日テレビを見てもやはり思った通り面白くもなんともなかった。ちなみに、観光客のふりをして日本人リポーターのインタビューに答えている自分の姿をテレビで見た時はわれながら間抜けだなあと思った。

 そんなわけで、もともと会社としては単発ではなくこの先も番組の放送を続けていきたいと考えていたのだが、結局この1回の放送だけで番組は終わってしまった。

 そして、それ以来会社からぼくに連絡が来ることはなくなり、ここでの仕事もこれきりとなった。

 その後しばらく経ち、ある日、いつものように無料情報誌の求人欄を見ていると、タイ語の翻訳・通訳者募集という記事が目にとまった。そこでぼくはさっそくその会社に電話し、後日面接を受けることが決まった。そして、実はここからぼくは本格的に翻訳・通訳者として仕事をするようになるのである。



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