本当にこのままでいいのか、日本人

 このブログはタイ語の翻訳業にまつわる話を書くために始めたブログであり、それ以外の話題は基本的には書かないことにしている。特にこれまで意識的に避けてきたのが政治に関する話題で、それは、こういう場で政治的なことを書き、仮に私が書いた内容に対して反論のコメントが書かれたとしても、ネット上では到底建設的な議論はできないと考えるからである。

 ただし、今日はこれまで意識的に避けてきた政治的な話題に、あえて触れることにする。いち日本人としてどうしても書いておく必要があると感じたからである。
 たしか5、6日前のことだったと思うが、朝刊を読んだ時にとんでもない写真が目に入ってきた。中国人の男が日本の国旗を踏みつぶしている写真である*1。そう、例の尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件に対して、北京の日本大使館前で日本に抗議する中国人の写真である。この写真を見た瞬間に当然ながらこの男たちに対して大きな憤りと怒りを感じたが、その次に思ったことが、もし日本人が逆のことをしたりしたら、中国側の反応はとんでもないだろうなということである。いや、中国みたいな国ではなくても、国民の多くが愛国心を持っている国であれば、こんな屈辱的なことをされて黙っているはずはない。

 はっきり言って私は前々から中国という国(個人としての中国人ではない)に対していい感情は持っていない。だが、ここで私が書きたいのは、こんな屈辱的な写真がメディアに載っても、ほとんど何の反応も示すことのない我が国、日本についてである。

 感情的になって中国とケンカしろというのではない。国としてはあくまでも強かに中国とやり合う必要がある。ただ、私はいち日本人として、ここは日本という国の踏ん張りどころだと感じていたし、ここで踏ん張らずにいつ踏ん張るのだと思っていた。

 だから、今日の夜、例の中国漁船の船長を釈放するというニュースを知った時は本当になさけない思いがした。2、3日前から、そういうことはしてくれるなよと思っていたが、現政府は「やはり」そういう政治的判断をしたかと。しかしここで政府の文句を言っても仕方がない。これは、こういう政府を選んだ私たち日本人ひとりひとりの責任なのであり、日本をこんな国にしたのは他でもない私たち日本人なのである。

 こんなことをしていたら、日本という国は、観光による収入だとか、レアアースだとか、貿易による収益だとかどころではない、もっと大きなものを近い将来に失うのではないか。今こそ私たち日本人は我が国、日本についてもっと真剣に考える時なのではないか。とりかえしがつかないことになる前に。

*1:正確には日本の国旗そのものではなく、日本の国旗を模した布であるが、いずれにしても日本という国に対する侮辱であることに変わりはない。