ウェブ検索での下調べの難しさ

 特に技術系の通訳の時は、事前にネットで用語などを調べる。今も来週の通訳に向けてネットで下調べしているのだが、内容が専門的になればなるほど、ウェブ検索による事前準備の難しさを感じる。
 何が難しいかと言うと、「これだっ」というぴったりのタイ語の用語がウェブ上でなかなか見つからないのである。それには次のような理由があるからではないかと私は思っている。

 まず一つは、タイ語で書かれているウェブサイトの絶対数が少ないことがその理由ではないかと思う。これは以前にも書いたことがあるが、例えば、ウィキペディアの記事ひとつ取っても、英語はもちろんのこと、日本語と比べてもタイ語はまだまだ記事の数が少ない(ちなみに、2010年9月1日現在で日本語の記事数が70万ちょっとなのに対し、タイ語の記事数は6万2000ほど)。これでは、内容が専門的になればなるほど、その内容に関するウェブサイトの数が限られてくるのも仕方がない。

 もう一つは、タイ語で専門用語がきちんと決まっていないこと。これも特に製造業などの技術系の内容で感じるのだが、日本語であればきちんとした言い方が決まっているような内容でも、タイ語だと用語が統一されておらずばらつきがあるように思う。つまり、タイ語でその概念が確立されていないのではないかと思われるのである。これは例えば製造業の分野で言えば、日本が自国で技術を開発してきた歴史があるのに対し、タイではその技術の多くを日本など他国から移転していることがその根本的な原因ではないかと思う。

 また、ネット検索で仮にタイ語の用語が見つかったとして、その用語が正しいものであったとしても、実際の現場ではそのような用語が使われていないという場合もある。ちなみに、私の手元にも技術用語集のようなものもあるが、私が調べたいような言葉はたいていそのような本には載っていないし、仮に載っていたとしても、その訳語が実際の仕事では使えないものであることも少なくないので、こういった用語集は端からあてにはしていない。

 そういうわけで、ただいま用語調べに悪戦苦闘中であるという愚痴じみた話である。