インターネットを断つ

 今うちにはテレビがない。1年ほど前だったと思うが、様々な理由からNHKに受信料を払うのが嫌で、テレビを実家に持って行った。

 煙草と同じで最初はテレビがないことに不自由を感じたが、今ではテレビがない生活が当たり前になった。テレビがない生活を一言で言うと、非常にさわやかである。何がさわやかかと言うと、テレビがあると特別見たくなくてもついついテレビをつけてしまうのだが、そういう主体性や創造性のない時間の過ごし方が人生から少し減った分、気持ちがさわやかになったのではないかと思う。
 そして、テレビを見なくなったことで、その分もっと本を読んだり勉強したりするようになった、と言いたいのだが、実は思ったほどはそうなっていない。その原因は、何のことはないインターネットなのである。
 翻訳の仕事にはインターネットを使った調べ物が欠かせないので、その部分でインターネットを使うことは問題ないのだが、ふと時間を持て余した時や、仕事で集中力を欠いた時などについついインターネットのどうでもいいようなページを見てしまうのがよくない。これでは、何となくテレビをつけてだらだら見てしまうのと何ら変わりがない。

 インターネットをやることもテレビを見ることも別に悪いことではないのだが、私はやはり時間の浪費だと感じる。人生は長いようで短い。その限られた時間の中では、できることには本当に限りがある。それならば自分が本当にやりたいと思うこと、また、自分がやるべきだと思うことを優先してやらなければならない。私であれば、テレビやインターネットのページを見る暇があったら、その時間を本を読むことと勉強することにもっと費やすべきなのだ。

 というわけで、これからは「主体性と創造性のない」インターネットの使用は「断つ」。テレビと違って実家に持って行ってしまうわけにはいかないので、これを断つことは容易ではないが、「自分が本当にやるべきことを先にやる」という優先順位がしっかりしていればできないことではないと思う。
 ついでに言うと、インターネット全盛の時代だからこそあえてインターネットからなるべく距離を置きたいというへそ曲がりな根性も今回の決心の一因である。