2008年の初仕事

 1つの仕事が終わると、やっと仕事が終わったという開放感と同時に、次の仕事はいつ来るのかという不安が襲ってくる。こうしたフリーの仕事をやっている限り、こうした気持ちの矛盾と付き合っていかなければならない。
 特に、前年12月の最後の仕事が終わって、新年1月の仕事が決まっていないと、先行きに不安を感じるものだ。ただ、今回は年末のアテンド通訳をしていた時点ですでに新年1月からの仕事が2つ決まっていたので、とりあえず先行きの不安は感じずに新年を迎えることができた。
 そしていざ新年を迎え、1月7日から新しい通訳の仕事が始まった。そしておそらく、今年もまた「タイ語『通訳』を生業とする」1年になるだろう。しかし、翻訳でも通訳でもタイ語のスキルが「必要条件」であることに違いはないので、今後3年間でタイ語のスキルを磐石なものにするというのが今年以降の目標である。ここで言う磐石というのは、「高いレベルで安定させる」ということであり、もうそれで十分なレベルというわけではない。将来のことは分からないが、ひとつだけ分かっていることは、今後どれだけタイ語のスキルを高めても、もうこれで十分だと思えるレベルには決して到達しないということである。したがって、重要なことは客観的に見て「極めて高いレベル」に到達することであり、そのためには、もっともっとうまくなりたいという気持ちの持続が不可欠であり、そのためには、逆説的だが「もうこれで十分だと思えて」しまってはその気持ちが持続できないのである。ちなみに、ぼくはタイ語を本格的に勉強し始めて7年ちょっとになるが、もっとうまくなりたいという気持ちがなくなったことはこれまでただの一度もない。それどころか今現在が「もっともっとうまくなりたい」という気持ちが一番強いと言ってもいいぐらいである。
 さて、あいかわらず前置きが長くなったが、前述のとおり、1月7日から某自動車部品製造会社で通訳の仕事をしている。今回の通訳は3週間の予定で、これまでのようにやはりタイ人研修生の通訳なのだが、ひとつ違うのは、タイの子会社からやってきているのではなく、日本の「技能実習制度」を利用して研修・技能実習生としてやってきているという点であり、その滞在期間は最長で3年間に及ぶ。もう少し詳しく言うと、最初の1年間は「研修生」として、その後の2年間は「技能実習生」として、派遣された企業で研修および技能実習を行うわけである。ただし、どういう名目かは詳しくは知らないが、研修期間中もお金はもらえるし、2年目以降に技能実習生になると、残業や休日出勤ができるなど労働者と同様の扱いとなる。
 今回ぼくが通訳を任されたのは、現場に入って実際に仕事をする前*1に部屋の中で行う最初の3週間の研修である。というわけで、これまでのようなタイの子会社からやってくるタイ人の研修通訳とは違い、会社で使われるような専門用語をタイ人たちはあまり知らないはずなので、通訳の準備もこれまでとはやや異なってくる。具体的に言うと、子会社からやってくるタイ人であれば、現場で使われる部品や作業に関する用語はけっこう英語をそのまま使うことが多いのだが(逆に無理にタイ語に訳しても相手がかえってとまどうことのほうが多い)、今回はそのようなわけにはいかないので、基本的にはタイ語で説明することが求められる。つまり、これまで以上に通訳であるぼく自身が仕事の内容そのものを理解していることが求められるということである。
 例えば、今回の企業では「タイロッドエンド (Tie Rod End)」と呼ばれる車の足回りに使われる部品を製造しており、日本の工場では通常「タイロッドエンド」と英語のままの名称が使われているので、タイの子会社で働いているタイ人従業員であればそのまま「Tie Rod End」と(タイ語の発音で)言えばおそらく通じるはずだが、今回のタイ人の場合はそれではきっと通じないだろうと思っていたので、そうした用語も可能な限りネットでタイ語を調べておいた。そしてやはり実際英語のままでは通じなかった。いやいやタイ語を調べておいてよかった。



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*1:「研修」とは言っても1年間ずっと部屋の中で勉強するわけではなく、実際には現場で「研修生」として仕事をするのである。