初めての○○○○通訳(初日)

 日本に帰ってからというものタイ語翻訳が生業になっておらず(つまりタイ語翻訳だけでは食えておらず)、実のところブログのタイトルを「タイ語『通訳』を生業とする」に変えたほうがいいような状態である。

 前回の日記で書いたように21日から26日までホテル住まいをしていたのも実は通訳の仕事で、しかもこの仕事をするきっかけとなったのが「翻訳者」ディレクトリなのである。

 さてその通訳の仕事だが、これが今までにぼくがしてきたのとはまったく毛色の違う、ということはつまりこれまでとはまったく分野の異なる通訳で、最初に連絡をもらった時には「アテンド」通訳だと説明を受けた。具体的には、日本の親会社が日本で行なう会社の駅伝大会に参加するために来日するタイ人に「アテンド」つまり「随行」するという通訳である。ただし今回のツアーは駅伝大会だけではなく、ツアーの日程には博物館や工場見学、観光、買い物といった内容も含まれていた。

 そういうわけで、12月26日にようやくこの通訳の仕事が終わったので、忘れないうちにこのブログに記しておくことにする。

 まずは初日の12月21日。タイから来る一行はAM7:30到着予定で、今回一緒に仕事をする予定の添乗員の方と7時に空港で落ち合うことになっていた。というのも、ぼくはこういう通訳が初めてなので通常はつかない添乗員が1名つくことになったのである。ちなみに空港は中部国際空港である。

 空港内の指定の場所に着くとほどなくして添乗員の方から電話があった。そして、添乗員の方と落ち合いあいさつをした後、今回の仕事の内容について簡単に打ち合わせをしていると、今度は日本の親会社の従業員の方がやってきた。この人は、タイから日本に来るタイ人たちはきっと寒いだろうということで、駅伝大会の時に着るベンチコートを持ってきていた。これを空港に到着したタイ人にまず渡すのである。

 このベンチコートを袋から取り出してサイズごとに分けた後、添乗員の方と従業員の方はタイ人を出迎えるために到着ゲートの前に立ち、一方のぼくはサイズごとに分けてイスの上に置いたベンチコートのところで待つことになった。ちなみに、今回の通訳の仕事をぼくに依頼してきたのは翻訳や通訳などの業務を扱う会社なのだが、このツアーの主催は某大手旅行会社であり、添乗員の方が、空港の到着ゲートでよく見かける会社名とツアー会社名が書かれた紙を持ってゲートに立っていた。

 今回日本にやって来るタイ人は総勢20名ということで、入国審査で顔と指紋のチェックをすることも考えると、しばらくは待たなければならないと思っていた。そこであらかじめ渡されていたタイ人のリストを見て名前を確認しておくことにした。とは言っても、名前は英語表記なので人によってはどう発音するのかはっきり分からない名前の人もいるのだが、コートを渡す時にできるだけまごつかないようにあらかじめ名前をチェックしておいたほうがいいと考えた。

 思っていた通りけっこう待つことになったが、数人のタイ人がようやく到着ゲートにあらわれ、添乗員の方から合図があったので、ぼくもイスに置いていた会社名とツアー会社名が書かれた紙を掲げてタイ人を出迎えた。今回は駅伝大会に出るということなので比較的若いタイ人が来ると思っていたので、服装もわりとラフな格好で来るのではないかと思っていたが、ぼくの予想に反してタイ人たちは皆スーツを着ていた。おまけに年齢も思っていたより上の人が多くちょっとおかしいなとは感じたが、まずコートを渡さなければならないので、あいさつをした後、さっそくリストを見て名前を確認した。最初の人はそれらしき名前が見つかったので、リストに書かれているサイズのコートを渡したが、次の人はリストに名前が見当たらない。ただ、タイ語で書かれていればはっきり分かるのだが英語だとはっきりと分からないし、もしかしたらリストの英語のスペルが違っているのかもしれないと思い、比較的スペルが近い名前があったので、その名前に書かれているサイズのコートを渡した。ところが次の人もリストに名前が見当たらない。そこで先に次の人に渡そうと思い、次の人を見るとけっこう年のいった人であった。実は今回来るタイ人の中には駅伝を走る選手以外にまとめ役のタイ人が2人入っており、その2人は当然ある程度年のいっている人だと思っていたので、この人がそのまとめ役の人ではないかと瞬間的に思った。ところがところが、この人もリストに名前が見当たらない。まとめ役の2人とも名前がまったく違う。しかしこれも何かの手違いかもしれないと思いリストのサイズを見るとコートのサイズは「O」であった。ところがぼくの目の前にいるこの人はかなり背が低い人で、どう考えても「O」サイズとは思えなかったので、これも何かの間違いだろうと思い「S」サイズのコートを渡した。

 そして、おかしいなとは思いながらその場にした5人のタイ人全員にコートを渡し、「後の人はまだ来ないんですか?」と聞くと、「これで全員だ」という答えが返ってきた。これで完全におかしいことに気が付いたぼくは、「どちらの会社からですか?」と聞くと、今回ぼくが通訳する会社とはまったく違う会社の名前が返ってきたので、これでようやく自分たちが勘違いしていたということに気が付いた。実は出迎えた時にも見知らぬタイ人や日本人がこのタイ人たちを出迎えており、これもおかしいなと思っていたのである。

 というわけでいきなりミスをしてしまったが、しばらくすると今度こそこの会社であろうと思われるタイ人たちがやってきた。今度は女性で年齢も比較的若そうな人たちだったので間違いないと思った。リストには女性も6名ほど含まれていたのである。そして、簡単に自己紹介して相手の名前をチェックすると今度はリストの中にちゃんと名前がある。当たり前のことではあるが。そして、この人たちにコートを渡し終わると後から続々とタイ人がやってきたので、名前を確認して次々とコートを渡していった。今度の人たちは予想通り私服ではあったが、ぼくが思っていたよりはよそ行き風の格好(例えば上着がジャケットであるなど)をしている人もいたし、やはりぼくが思っていたよりきちんとした防寒着を着ている人もいて、中にはベンチコートは必要ないのではないかという人もいた。

 結局、まとめ役の人が1人おらず、この人はすでに別の用事で日本に来ているということがこの時になって分かったのだが、その程度の手違いはおそらくあるだろうと思っていたので特に驚きはしなかった。そして、全員にコートを渡した後、1階に待機していた観光バスに乗り込み今回止まるホテルに向かった。(つづく)



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