日本でいかに仕事を見つけるか?

 いつの間にか話が変な方向に進んでしまったが、日本に戻ってまず最初の通訳の仕事は派遣会社経由という形で始まった(自分ではフリーランスのつもりでいても立場としてはあくまでも派遣社員である)。そして、登録の時に派遣会社の担当者にも言われたように、タイ語の通訳の仕事はそれほど頻繁にあるわけではない。実際、2006年の10月下旬から11月上旬にかけての通訳の仕事が終わり、その後、この派遣会社から再び通訳の仕事の依頼が来たのは翌年2007年の2月であった。

 それではその間はどうしたのか。もちろん何もしないわけにはいかない。この当時のぼくは実家に住んでいたのでそれほどお金がかかる状態ではなかったが、それでも最低限の食費と光熱費だけは毎月親に払っていた。そして実は12月には実家からアパートに引っ越す予定であった。というのも、ぼくの実家は4年ほど前に新しく建てかえて家そのものは多少大きくなったのだが、もともとぼく(および妻)が一緒に暮らすことを想定した家ではないので、収納スペースがやたら多くて大きさのわりに部屋数が少ない。簡単に言うと、ぼくと妻が暮らす独立した部屋がないのである(空いている部屋はあるが隣の部屋とスライドドアで仕切られているため完全に独立した部屋ではない)。そうした状況で生活していくうちに家族おのおのに予想以上にストレスがたまり、また、家で翻訳の仕事をしていくにはあまりにも不便であったため、最終的にはアパートを借りる必要性が出てきたのである。

 では、11月上旬に通訳の仕事が終わった後、ぼくは何をしたのか。上述のようにタイ語の通訳の仕事はそれほど頻繁にあるものではないし、翻訳の仕事に至っては日本で翻訳の仕事を依頼してくれる会社などまだまったくない。つまり、すぐに翻訳や通訳の依頼が来るような状況ではなかったのである。

 そこでぼくはまずいくつかの「営業活動」をすることにした。

 正直言って細かい順番は覚えていないが、たしかまず最初にしたのが派遣会社への登録である。10月下旬から11月上旬にかけて行った通訳の仕事の際に現場の派遣先でたまたま別の言語の通訳の人と知り合いになり、その人が登録している翻訳・通訳専門の派遣会社を紹介してもらった。これはタイにいた時もそうであったが、翻訳にしても通訳にしても仕事というのは往々にしてこうした人とのつながりから得られるものである。というわけで、人口約37万人程度の地方都市に住んでいるぼくは、前回の派遣会社の登録の時と同じく、電車に乗ってその会社のある某大都市まで登録に行ってきた。ただし、当たり前のことだが登録したからと言ってすぐに仕事が紹介してもらえるわけではなく、最初の派遣会社のようにすぐに仕事が紹介してもらえるのはむしろ例外だと思う。もちろんこれはタイ語というマイナー言語の翻訳や通訳の仕事に限っての話である。

 次にしたことは翻訳の営業活動である。もちろん派遣会社に登録する時には通訳だけではなく、翻訳の仕事も希望しておくし、実際に派遣会社から翻訳の仕事の依頼が来ることもある。ただしあるにはあるがごくたまにである。ぼくとしてはそれとは別の会社を探す必要があった。タイにいた時はバンコクに住んでおり、バンコクにはいわゆる翻訳会社と呼ばれる会社や人材派遣会社と呼ばれる会社がたくさんあったので、ぼくはそういったところにタイ語の翻訳者として登録し、そういった会社から翻訳の仕事をもらっていた。そこで日本でもまず翻訳会社を探すことにした。探すと言ってもどうやって探すの?と思う人もいるだろう。ずばり、ウェブ検索である。「タイ語 翻訳」とか適当なキーワードを入れて検索するとタイ語を扱っている翻訳会社がすぐに見つかる。そして、そうした翻訳会社の中にはウェブ上でフリーの翻訳者を募集しているところもいくつかあるので、それに応募するのである。今「応募」すると書いたが、正確には応募ではなく「登録」するのである。会社によってはウェブ上に登録フォームがあるところもあるし、履歴書と職務経歴書を会社に送付するところもある。そんな形でウェブ検索でいくつかの会社にタイ語翻訳者として登録しておいた。しかし、これなどは本当にいつ仕事の依頼がくるか分かったものではない。ただ、とりあえずできることから始めなければならないのである。

 そんなことをしているうちに12月となり、ぼくと妻はアパートに引っ越しすることとなった。



 営業活動の一環として翻訳ブログ人気ランキングに参加中

 営業活動の一環としてタイ語ブログランキングに参加中

 営業活動の一環としてタイ情報ブログランキングに参加中