日本で何をする?

 日本に戻ったはいいが、正直ぼくは無計画で、何をして働こうかということすら考えていなかった。とりあえず2年ほど。考えていたのはそれだけで、いずれはタイに戻るつもりで日本にやってきた。だからあくまでも「いったん」日本に戻ってきたわけなのである。

 日本に戻ってきた時点では当然ながらまだ日本では何の仕事もなく、何をするのかも決めていなかったのだが、実はこの時点ではやることがあった。タイから日本に戻る直前に引き受けた翻訳の仕事があって、日本に戻ったらその作業の続きをしなければならなかった。そして翻訳の仕事にはもちろん納期というものがあるので、日本に戻ってまずはほっとひと息というわけにはいかず、日本に戻った翌日からさっそく翻訳の仕事を始めた。

 日本に戻ってから3週間ほどでこの仕事を終え、その後は工場の期間工でもして働こうかと思っていたのだが、この仕事が終わる前に新しい翻訳の依頼が入った。これもその前の仕事と同じ会社から依頼されたもので、ということはつまりタイの会社から依頼された仕事であった。

 この依頼があった時、正直ぼくはあまり引き受けたくはなかった。というのも、先ほど書いたように、さっさと工場あたりで働いてお金を稼ぎたかったからであり、つまり当初のぼくの感覚としては日本で2年ぐらい働いてお金を貯めるぐらいにしか考えていなかった。

 今考えてみると、この仕事を引き受けたことがぼくの日本での仕事を方向付けるひとつのきっかけになったと思う。逆に言うと、もしこの仕事を引き受けず例えば工場の期間工として仕事を始めていたら、そのまま今でも期間工をしていたかもしれない。ただ、矛盾したことを書くようだが、結局のところぼくの人生はこういう方向に行くようになっていたのかもしれないとも思える。

 いずれにしてもぼくはこの仕事を引き受けた。そして、この仕事がまた非常に大きな仕事だったので、結果的には日本に戻って2ヶ月半ほどはタイにいた時と同じように、毎日翻訳の仕事をすることになった。

 そんなわけで日本に戻っても毎日ひたすら翻訳の仕事を続け*1、2ヶ月半ほど翻訳の仕事をようやく終えた頃には、季節も夏から秋へと変わり、10月も半ばを迎えようとしていた。この時は日本には四季があるのだなあと心底実感したものである。そしてこの仕事が終わる頃にまたひとつのターニングポイントを迎えようとしていた。



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*1:長期に渡る仕事で少しずつ小分けに納品していく仕事だったので、この頃のぼくはかなり規則正しい生活をしていた。