ポーホック対策(その4)

 そういえば作文ってのもポーホック対策のクラスの前からすでにやっていて、たしかこれは宿題だったと記憶している。そう、作文が宿題だったのである。しかも毎日だったのでこれはけっこう大変だった。

 具体的には先生からテーマを与えられて、そのテーマに関して作文を書いてくるという宿題だった。

 書く量もたしか決められていた。タイ語の書き取りをしたり、文章を書いたりするのに使っていた授業用のノートがあるのだが、それでたしか1ページ分だったと記憶している。そして、ぼくは1ページよりはたくさん書くと勝手に自分で決めていて、いつも必ず1ページ半から2ページぐらい書いていた。

 この作文というのが難しいというか、つかみどころがない。

 というのも、例えば書き取りなんかだと、何が正しくて何が間違っているのかがはっきり分かるのだが、作文の場合は、明らかに用法を間違えていたり、つづりが違っていたりするものはもちろん先生が赤ペンでチェックを入れてくれるわけだが、間違ってはいないけど、タイ語の言い回しとしては実際はちょっと不自然だったりするところも必ずあるはずで、その辺りは先生も細かくはチェックしてくれないので自分でもどこまで正しいのか分かりかねるところがあった。

 ただし、やはり使い方に自信のない言葉を無理に使ったりせずに、自分の言わんとすることを自分の知っている言葉でできる限り平易に書くというのが基本だと思う。これは別にタイ語を学校で勉強している生徒だけに言えることではなく、例えば、タイ語で日記を書こうと思った場合でもそうだし、さらに言えば、日本語で何か文章を書く場合でも基本はまずこれだと思う。

 ということで、作文の1つ目のポイントは、「自分の知っている言葉でできる限り平易に書く」であり、実際、タイ語学校で勉強していた時もそれを心がけていたつもりである。

 2つ目だが、これは試験に直結してくることなのだが、試験では20〜25行というように行数が指定され、しかも限られた時間で書かなければならないので、「限られた行数の中で時間内にしかもテーマに沿った内容を書く」能力が要求される。

 学校では試験の何ヶ月も前から作文を書く練習をしているので、量を書くことは難しくない。ただし、限られた行数の中でテーマに沿った内容を書こうと思うとやはり文章の構成力が必要になってくる。これはもうタイ語能力うんぬんというよりもむしろ作文の能力である。だから、まずテーマを与えられたら頭の中で書く内容の展開を考えることが第1ステップで、その後、その内容をタイ語という言語で書き表すことが第2ステップになる。

 ぼくの感覚では5つの試験問題の中でこれが一番難しいように思う。難しいというのは点数を取るのが難しいという意味であり、点数はともかくとにかく書くというだけなら全く難しくはない。

 他の問題はタイ語の能力が上がればそれに比例して点数も上がるような内容なのだが、この作文だけは学校で勉強していても、今日はわれながらうまく書けたなと思う日もあれば、今日はいまひとつすっきりとまとまった文章が書けなかったと思う日もあり、間違いなく上達しているといった確かな手ごたえが感じられにくいものであった。

 例えば、与えられたテーマが自分にとって興味のあるテーマだと作文自体は書きやすいのだが、じゃあそれでうまいことまとまった文章が書けるかというとそれはまた別問題で、興味があるだけに書きたいことが多すぎて逆にまとまらないという場合もある。

 そう考えると作文はやはり構成力がカギになってくると思う。もちろん書きたい内容がはっきりしていてもそれを表現するタイ語能力がなくては話にならないが。