アパートについて

 まずアパートの建物は、4階建てで形がコの字になっていて、コの字の中の部分が駐車場になっている。また、エレベーターはなく、4階の上は屋上になっているのだが、この屋上には住み込みのスタッフがいて、ここでいつも洗濯をしている。部屋数は100室近くあったと思うのだが、洗濯はすべて手洗いであった。ちなみに、このアパートは通りに面した側の1階が「らーめん亭」という日本の中華料理屋である。また、通りを挟んでアパートの向かい側には「コカ」というタイスキで有名なレストランがあり、ここには毎日必ず日本人観光客がやってきたので、ここに住んでいて日本人を見ない日はなかった*1。また、このコカの隣には「マンゴーツリー」というコカと同系列の有名なタイ料理があり、夜の8時ごろになるとやはり毎日のようにタイ舞踊の音楽が聞こえてきた。ついでに言うと、このアパートのある路地(タイ語では「ซอย」という)にはさらに日本食の店が3件あった他、ゴーゴーボーイと呼ばれるゲーのダンサーがいる店があったり、店先にドレスを着た女の子たちが座って通りを歩く外国人観光客に声をかけたりする店*2があったりと、いかにも歓楽街のど真ん中といった風情の路地で、こういう雰囲気自体は個人的には嫌いではなかった。ただし、今ここに書いた店にはほとんど入ったことはないのだが。

 次に部屋のつくりだが、広さはだいたい20?ぐらいだと思う。これは、住んでいた当時に床の四角いタイルの数をかぞえて計算したのだ。また、部屋に備え付けられている家具は、キングサイズのベッドと洋服ダンス、鏡の付いた机とその椅子、それにソファー2脚と小さなテーブルが1脚。これだけでかなり部屋のスペースを取るので、残りの床面積は当然少ない。それからトイレはいわゆるユニットタイプなのだが、広さがかなりあったのでシャワーはゆったりと快適に浴びられる。ちなみにバスタブもあり温水も出る。それから、リモコンもないし、タイマーもかけられないはめ込み式であるがエアコンも付いている。しかし後々分かるのだが、このタイマーがないというのはかなり不便である。後は、アパートの部屋には直通の電話がなく、部屋には内線用の電話機が付いている*3。また、冷蔵庫はアパートで1ヶ月500バーツで貸してくれるのだが、1年以上住むのであれば買った方が安いのでぼくは自分で買った。ちなみに部屋にはキッチンはなくベランダもないので基本的には自分の部屋では料理はできない。

 こんな感じの部屋なので、必要最低限の電化製品に布団と枕を買えばすぐに生活を始められる(書き忘れたがカーテンは付いている)。こういう手軽さはバンコクのアパートのいいところだなと思った*4

 そんなわけで、生活に最低必要なものはタイ語学校が始まるまでに買い揃えたのだが、覚えている範囲で言うと次のようなものを買った記憶がある。

 ‐冷蔵庫。ホテルなんかにあるワンドアタイプ。たしか3500バーツぐらい。
 ‐扇風機。ナショナル製の小さいやつで618バーツだった。(なぜか値段を覚えている)
 ‐電気ポット。これもナショナル製で値段は1000バーツはしなかったと思う。(これはなぜか値段を全く覚えていない)
 ‐CDラジカセ。アイワ製でたしか3000バーツぐらいだったと思う。
 ‐トースター。値段は覚えていないが1000バーツはしなかったと思う。

 たしか最初に買った電化製品はこのぐらいだったと思う。ちなみに洗濯はアパートがしてくれるので洗濯機は必要なく、テレビは買わなかった。この時はまだパソコンも持っていなかったのだが、よくよく考えてみると学校が始まるまでの1ヶ月間ほどぼくは一体何をして過ごしていたのだろうか。我ながら不思議である。というかほとんど記憶がない。

 あとは、布団と枕、それからコップとか皿などの細々としたものを買ったぐらいである。

 そんな感じで大げさな準備をすることもなくけっこう気軽にアパート生活を始めたのだと記憶している。

*1:ぼくの住んでいた部屋はちょうど通りに面した側の3階でこの「コカ」が目の前にあった。

*2:ちなみにぼくは一度も声をかけられたことがない。

*3:後々翻訳の仕事を始めてから部屋に自分で電話線を引くことになる。

*4:後々引っ越すことになるのだが、おかげで荷物も少なく引っ越しの時は1トンピックアップトラック1台で済んだ。