Hな低子音とは?
前回の日記の最後でぼくはこう書いた。
「実を言うとこの「ห」というのは23字あるすべての子音に付くわけではない。これはタイ語が読める人でも意外と意識していない点ではないかと思う。」
偉そうなことを書いているが、なにを隠そうぼく自身がこれを書くまでこのことを意識していなかったのだ。これは重要なことだと思うが、文字の読み書きというのはルールが身に付くまではルールを意識するが、いざそのルールが身に付くとルールそのものは意識しなくなる。そういう意味では「これはタイ語が読める人でも意外と意識していない」というのは実は正しくなく、「タイ語が読めるようになると意識しなくなる」のである。
ここでちょっと低子音の23字をもう一度振り返ってみたい。
ค (kh) ฆ (kh) ง (ng) ช (ch) ซ (s) ฌ (ch) ญ (y) ฑ (th) ฒ (th) ณ (n) ท (th) ธ (th) น (n) พ (ph) ฟ (f) ภ (ph) ม (m) ย (y) ร (r) ล (l) ว (w) ฬ (l) ฮ (h)
この23字が低子音であった。そしてこの23字は、実は以下のようにさらに2つのグループに分けることができる。
ค(kh)ฆ(kh)ช(ch)ซ(s)ฌ(ch)ฑ(th)ฒ(th)ท(th)ธ(th)พ(ph)ฟ(f)ภ(ph)ฮ(h)
ง(ng)ญ(y)ณ(n)น(n)ม(m)ย(y)ร(r)ล(l)ว(w)ฬ (l)
そして、この2グループのうち「ห」が付いて高子音になっちゃうのは下のグループの低子音だけなのである。*1
では、なぜ上のグループの子音には「ห」が付かないのか。実はそれにはちゃんと理由がある。そしてその理由を考えるには、そのそもこの2グループがどのように分けられているのかを理解する必要がある。
ここで、高子音のグループをもう一度見ていただきたい。
ข(kh)ฉ(ch)ฐ(th)ถ(th)ผ(ph)ฝ(f)ศ(s)ษ(s)ส(s)ห(h)
高子音のグループを低子音の2つのグループと見比べて何か気が付くことはないだろうか。クイズだと思って考えてみてほしい。
どうであろうか。よく分からないという人は低子音の上のグループと高子音のグループを見比べてほしい。
そう。実は23字ある低子音の中でも、「高子音にある音」と「高子音にはない音」があるのである。「高子音にある音」とは例えば「ค(kh)」のことで、これと同じ「ข(kh)」という音が高子音にもある。逆に「高子音にはない音」とは例えば「ง(ng)」のことで、これと同じ音は高子音にはない。
つまり、子音23字のうち、上のグループが「高子音にある音」で、下のグループが「高子音にはない音」なのである。そして、「高子音にはない音」には「ห」を付ける必要がある。なぜかというと、これは声調の話を書いた時に説明したのだが、5つあるタイ語の声調のうち低子音には第1声調と第3声調、第4声調の3つの声調しかない。そこで、低子音に「ห」を付けることによって、第2声調と第5声調の音を表せるようにしているのである。例をあげて説明しよう。
งา(第1声調)
ง่า(第3声調)
ง้า(第4声調)
上のように、低子音では3つの声調しか表せない。ところがこれに「ห」をつけると...。
หงา(第5声調)
หง่า(第2声調)
หง้า(第3声調)
このように高子音では、第2声調、第3声調、第5声調の3つの声調を表すことができるので、低子音では表せなかった第2声調と第5声調をカバーすることができるのである。
逆に「高子音にある音」の場合は次のように考えることができる。
คา(第1声調)
ค่า(第3声調)
ค้า(第4声調)
これは「kh」の音だが、低子音では上のように第1、3、4声調の3声調である。
ขา(第5声調)
ข่า(第2声調)
ข้า(第3声調)
これも同じく「kh」の音で、高子音では上のように第2、3、5声調の3声調で、低子音と高子音を合わせると「kh」の音を5つの声調で表すことができる。このように「高子音にある音」の場合は低子音と高子音でそれぞれの声調を補い合う関係になっているので「ห」を付ける必要がないのである。
じゃあ中子音はどうなるんだと思った人もいるかもしれない。実はこれについてもすでに過去の日記で触れているのだが、中子音は第1声調から第5声調までの5声調すべてがあるので、補い合ったり、何かを付けたりする必要はないのである。
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*1:ただし、「ณ」と「ฬ」はぼくの持っている辞書には「ห」が付いて高子音になる単語は載っていない。