二重子音の声調
今回は二重子音の声調のルールについて触れておきたい。
これまで何度も見てきたように、タイ語の声調を決めるのは、(1)頭子音の種類、(2)声調記号、(3)母音の長短、(4)末子音の種類という4つの要素がある。そのうち(1)の「頭子音の種類」とは言うまでもなく、低子音、中子音、高子音のことである。
ところが二重子音の場合は頭子音が2つあり、言葉によっては、高子音と低子音あるいは中子音と低子音といった組み合わせの場合もある。ではこういう場合の声調はどうなるのだろう。具体的に見ていこう。
ผลัก→第2声調
กล้วย→第3声調
กวาด→第2声調
แขวน→第5声調
いきなりだがこの4つの言葉の声調をそれぞれ書いてみた。ちょっと面倒だがこれらの言葉を一語ずつ解析してみたい。一体どういうルールになっているのか。
まず「ผลัก」だが、頭子音は高子音 (ผ) と低子音 (ล) 。母音は短母音。そして末子音は「k」の音。この組み合わせで「第2声調」になるということは、頭子音が「高子音」でなければならない。逆にもし頭子音が「低子音」だとこの言葉は第4声調になってしまう。つまり、こういうことである。
もし高子音の「ผ」で考えるなら「ผัก」という形にになり、これだと第2声調。逆に低子音の「ล」で考えるなら「ลัก」という形になり、これだと第4声調。したがって、この単語を見る限りでは、二重子音の場合は2つのうち最初の子音が声調を決定している。では残りの3語で確かめてみよう。
「กล้วย」は上に書いたように第3声調である。では子音を分けて考えてみる。仮に「ก้วย」なら、「中子音」+「声調記号マイ・トー」+「 (末子音が) i」 (ということはつまり「k、t、p」の場合と違って声調が末子音の影響を受けない) なので、第3声調になる。逆に「ล้วย」なら、「低子音」+「声調記号マイ・トー」+「 (末子音が) i」なので、第4声調となる。ということはつまり頭子音が「中子音」の場合に第3声調になっているので、この単語も2つのうち最初の子音が声調を決定している。
「กวาด」は上に書いたように第2声調である。では子音を分けて考えてみる。仮に「กาด」なら、「中子音」+「長母音」+「 (末子音が) t」なので、第2声調になる。逆に「วาด」なら、「低子音」+「長母音」+「 (末子音が) t」なので、第3声調となる。ということはつまり頭子音が「中子音」の場合に第2声調になっているので、この単語も2つのうち最初の子音が声調を決定している。
最後に「แขวน」は上に書いたように第5声調である。では子音を分けて考えてみる。仮に「แขน」なら、「高子音」+「長母音」+「 (末子音が) n」なので、第5声調になる。逆に「แวน」なら、「低子音」+「長母音」+「 (末子音が) n」なので、第1声調となる。ということはつまり頭子音が「高子音」の場合に第5声調になっているので、この単語も2つのうち最初の子音が声調を決定している。
ということで、「二重子音の声調」は「2つの子音のうち最初の子音が声調を決定する」ということが分かる。