規格外の超ボイン
まだこんなボインちゃんがいたか。
มืด
いきなりだがこれは何と読むだろう。
そう。「mUUt (ムート)」である(「U」は口を横に大きく広げる「ウ」)。ちなみに声調は、低子音で声調記号がなく末子音が「t」の音でしかも母音が長母音(超ボイン)なので、第3声調(∧)である(しつこいがこれがもし「มึด(mUt)」のように短母音の場合は第4声調(/)となる)。
ではこの「มืด(mUUt)」の末子音(t)を取るとどうなるか。当然「มื(mUU)」となる「はず」である。
ところがなんとも嘆かわしいことにそうはならないのである。じゃあどうなるのか。
มือ
こうなのである。なぜなのかとは聞かないでいただきたい。そういうルールなのである。何事もルールには従わなくてはならない(ちなみにこの「มือ(mUU)」は「手」という意味であるがこれをちょっと頭の片隅に入れておいてほしい)。
せめて強調体で書いておこう。
長母音(超ボイン)の「 ื(UU)」で末子音がない場合は最後に「อ」が付く!
やはり「超ボイン」なだけに規格外なのだなと納得していただければ幸いである。
いやそれでは到底納得できん!という方にはせめてこうしていただくしかない。
(自分の「手」をじっと眺めながら)「む〜」、なぜお前には「อ」が付くのだと。
そういうわけでこの規格外の超ボインちゃんをいくつかご紹介しておこう。
คือ
読み方は「kUU(クー)」。声調は、低子音で声調記号がないので、第1声調(―)。かなり抽象的な意味を持つ単語であり、「あのお」とか「そのお」とか「ええと」とか「というのも」などといったイメージの単語だと思っていただければいい。
ชื่อ
読み方は「chUU(チュー)」。声調は、低子音で声調記号がマイ・エーク*1なので、第3声調(∧)。初対面の人に会ったりするとよく「『ชื่อ(chUU)』は何ですか」と聞かれて、「タカシ」ですと答えるのだが、タイ人はなぜか「タケシ」と呼びたがる。タイではタカシよりもタケシのほうが市民権を得ているらしい。
ซื้อ
読み方は「sUU(スー)」。声調は、低子音で声調記号がマイ・トーなので、第4声調(/)。例えば家族がデパートに行って大きな紙袋を抱えて帰ってきたりすると、「何を『ซื้อ(sUU)』してきたの?」なんて聞いたりするのだが、そんな文章のパターンが頭にあるタイ人が日本語を勉強すると「何を「買う」してきたですか?」なんて言うのかもしれない。
ดื้อ
読み方は「dUU(ドゥー)」。声調は、中子音で声調記号がマイ・トーなので、第3声調(∧)。ぼくにとってのこの単語のイメージは妻のいとこの女の子。いとこと言ってもかなり年が離れていて今4才ぐらいだと思う。この子がときどき妻のお母さんの家に遊びにくるのだが、とにかく言うことを聞かない子でまた父親がそれをちゃんと叱りもしない(というかそもそもこの父親の対応が大きな原因なのだが)。この子の姿を見るたびにこの「ดื้อ(dUU)」という言葉が頭に浮かぶ(というか周りの人も実際この言葉を使っているが)。
สื่อ
読み方は「sUU(スー)」。声調は、高子音で声調記号がマイ・エークなので、第2声調(\)。タイでニュースを見たり聞いたりしているとけっこうよく耳にする単語。そんな時の「สื่อ(sUU)」というのはたいてい「メディア」という意味で使っている。
そんなわけで、このボインちゃんは規格外だけに数は多くないのでぜひお近づきになってやっていただきたい。
*1:「ไม้」という単語は通常は「maai(マーイ)」と発音するのだが、後ろに別の単語(ここでは「เอก(eek)」)が付いた場合は「mai(マイ)」と発音する