短母音と長母音じゃあ違うんです

 まずここまでのおさらい。

 基本は「คา」。つまり、低子音+母音で声調符号なし。これだと発音は「第1声調」。

 ところがこの「คา」に末子音が付くと発音が変わってくる。パターンは2つ。

 ①「คาด」のように、音が「ッ」で終わる末子音が付くと「第3声調」になる。なお、この末子音には「k、t、p」の3種類の音がある(でも文字は3種類だけじゃないので注意)。

 ②「คาง」のように、音が「ン」で終わる末子音が付く場合は「第1声調」のまま。なお、この末子音には「ng、n、m」の3種類の音がある(こっちも文字は3種類だけじゃないけど、「ng」と「m」は「ง」と「ม」のそれぞれ1種類だけ)。

 では次の単語はどうだろう。

 「คิด」

 この単語は「キット(khit)」と読むのだが、これまでのパターンにあてはめると、「低子音+母音で声調符号なし」に「t」の音の低子音である「ด」が付いているのだから「第3声調」になるはずである。

 ところがなんとこの「คิด」の発音は「第4声調」なんである。なんかいやになるよねえ。でも、「คาด」と「คิด」ではひとつだけ決定的な違いがあるのだ。分かるだろうか。よく考えてほしい。

 そう。「คาด」の母音は「長母音」だが、「คิด」の母音は「短母音」なのである。低子音の場合は短母音と長母音では声調が異なるのである。なんてややこしいんだと言ってもそれがルールなのだからどうしようもない。では、ここまでの総まとめ。

 「คา」だと「第1声調」。

 「คาด」だと「第3声調」。

 「คาง」だと「第1声調」。

 「คิด」だと「第4声調」。

 「คิง」だと?あ、これはまだ説明してなかったが、末子音が「ン」の音の「ng、n、m」の場合は「第1声調」のままで変わらない。ということはつまり、母音が短母音なのか長母音なのかが問題になるのは末子音が「k、t、p」の場合だけ。

 非常にややこしいのだが、ぼくの経験から言うと、後は実際の単語を一語ずつ解析していくのが面倒なようで一番の近道である。それをいやになるぐらいやればそのうち発音のパターンが覚えられるようになるはず。

 最後に、ここまでややこしい説明してきて非常に心苦しいがもうひとつだけ。

 「คา」と「คิ」。実はこの2つも声調が違うんです。泣けてくる。

 「คา」はこれまで何度も書いているように「第1声調」。ところが「คิ」は第1声調ではなく、「第4声調」なのである。実は「低子音+母音で声調符号なし」でも「短母音」の場合は「第4声調」になる。申し訳ないがそういうルールなので覚えていただくしかない。

 ここを乗り切れば中子音と高子音はずっと簡単に感じられるはず...。