自分のことを外から見る自分

 「この従兄は気のいい男で、向上心というものが一切ないところが、最大の取柄であった。だから、廻りの者の気を楽にするのである」(曽野綾子著『「いい人」をやめると楽になる』より)
 今週は体力的にも精神的にもブログを書くだけの余裕がなかった。

 汚い話で恐縮だが、上の本を私はトイレに置いてあって、今はトイレに入った時にちょこちょことこの本を読んでいる。この本は曽野さんの過去の著作の一部を抜粋した本で、それぞれの文章は数行から1、2ページなので、トイレでちょこっと読むのにちょうどいいのである。

 素晴らしい文章や言葉を指して「珠玉の」といった言い方がされるが、この本はまさに珠玉の言葉の数々が連ねられており、こういうのが本当のプロの文章なのだと思う。というのも、何気ないことを書いているようでいて、実のところ非常に深い人間洞察に裏打ちされており、たったこれだけの文なのに、読めば読むほど味が出る、そんな文章だからである。

 当然のことだが、曽野さんは向上心を持つことが悪いと言っているわけでも、向上心など持たないほうがいいと言っているわけでもない。ただ、向上心を持つことが絶対的にいいことで、向上心のないのはダメなのだなどという、そんな単純なものでは人間はないのだ。向上心のある人は向上心があるがゆえに優れた人になりうるが、向上心の一切ない人というのも別の意味で見事な人である。そういう一見矛盾した、複雑な人間の心理を理解できるようにならないと、本当の意味での大人にはなれない。曽野さんの本を読むといつもそう言われているような気がしてくる。

 「この従兄は気のいい男で、向上心というものが一切ないところが、最大の取柄であった。だから、廻りの者の気を楽にするのである」(曽野綾子著『「いい人」をやめると楽になる』より)
 今週は体力的にも精神的にもブログを書くだけの余裕がなかった。

 汚い話で恐縮だが、上の本を私はトイレに置いてあって、今はトイレに入った時にちょこちょことこの本を読んでいる。この本は曽野さんの過去の著作の一部を抜粋した本で、それぞれの文章は数行から1、2ページなので、トイレでちょこっと読むのにちょうどいいのである。

 素晴らしい文章や言葉を指して「珠玉の」といった言い方がされるが、この本はまさに珠玉の言葉の数々が連ねられており、こういうのが本当のプロの文章なのだと思う。というのも、何気ないことを書いているようでいて、実のところ非常に深い人間洞察に裏打ちされており、たったこれだけの文なのに、読めば読むほど味が出る、そんな文章だからである。

 当然のことだが、曽野さんは向上心を持つことが悪いと言っているわけでも、向上心など持たないほうがいいと言っているわけでもない。ただ、向上心を持つことが絶対的にいいことで、向上心のないのはダメなのだなどという、そんな単純なものでは人間はないのだ。向上心のある人は向上心があるがゆえに優れた人になりうるが、向上心の一切ない人というのも別の意味で見事な人である。そういう一見矛盾した、複雑な人間の心理を理解できるようにならないと、本当の意味での大人にはなれない。曽野さんの本を読むといつもそう言われているような気がしてくる。